14年ニートしていたら38歳になってた

働いてないけど、生きるのはけっこう忙しい。

家の音に敏感すぎるのは、僕だけだった

家の中の音が、妙に気になることがあります。

ある日、家の中が妙に静かで、直感的に「足りない」と感じました。
24時間換気の音が止まっていたんです。

両親は、気づきません。
止まっていても、普通に暮らしている。

以前、トイレの換気扇のモーターが古くなって、キーーッと嫌な音を出していたことがありました。
僕はずっと引っかかっていたのに、両親は僕が言うまで「そんな音してた?」という顔をしていました。

家族の中で僕だけが拾ってしまう違和感が、たぶんいくつもあります。

音だけじゃありません。
声にも、勝手に反応してしまいます。

父はあくびをすると、最後に「んああ!」と大きな声を出します。
一階のリビングの声が、二階の自室まで、はっきり届く。
そのたびに僕だけがビクッとします。悪気がないのが、余計に困る。

母がボソボソと独り言を言っているのも、耳に残ります。
機嫌が悪そうなときの独り言は、内容が聞き取れない距離でも、温度だけが伝わってくる感じがする。
生温い苛立ちみたいなものが、音に混ざって入ってくる感じがします。

数年前、近所で騒音のようなものがありました。

向かいの家が、鳥や猫よけの装置を置いたのです。
ピピピピピッ、と甲高い音が鳴る。反応範囲が広いのか、日中はずっとどこかで鳴っていました。

僕はその音に、何度も集中を切られました。
頭の中に積み上げていたものが、ピピピのたびに崩れていくような感じがして、両親に「ちょっと言ったほうがいいかもしれない」と相談しました。

でも父は、「まぁうるさいとは思うけど」と言い、母は「言われるまで気づかなかった」と言いました。
問題視していたのは、僕だけでした。

最終的には母が向かいのおじさんに話してくれて、装置は外されることになりました。
そのときおじさんは、「ごめんね」と言いながら、「そんなに気になるかね?」とも言ったそうです。

いちばん近くにいるはずの本人が平気なら、たしかに、僕のほうが過剰なのかもしれません。

「気にしすぎ」と言われたら、そうなのだと思います。
僕は家で過ごす時間が長くて、家の音の基準が、たぶん細かく決まってしまっている。
だから少しでもズレると、すぐにわかってしまう。

今日も換気扇の音に、少しだけ安心しながら。
その安心の上で、また別の小さな違和感を、聞いてしまいます。