【実体験】パチンコ攻略詐欺の被害に遭い、60万円の借金を背負いました。
「うまい話には裏がある」
人生の中で何度も耳にした言葉です。
『パチンコ攻略詐欺』なんてものは、これの最たる例だと思います。
なんせ、「パチンコで100%勝てる方法を教える」と言っているわけですから、「こんなうまい話、絶対にありえない」と100人中99人は思うことでしょう。
しかし、21歳、大学4年生だった僕は、ありえないレベルの『うまい話』を鵜呑みにし、騙され、60万円以上の借金を背負わされることになりました。
この記事では、当時を振り返りつつ、「なぜ僕はこんな簡単な詐欺に騙されてしまったのか?」を考えていきたいと思います。
パチンコ攻略詐欺とは?
パチンコには裏技が存在する!
パチンコ攻略を簡単に説明すると、『パチンコ台には絶対に当たりを出せる必勝法(裏技)が存在していて、お金を払えばその方法を教えます』というものです。もちろん、そんなモノは存在しません。
仮に必勝法が存在するとして、万が一にでも知れ渡ってしまったら、パチンコ店にとって大痛手になりますよね。そんな裏技をメーカーがいちいち設定しておくなんて考えられません。。
……と、少し考えれば分かるのですが、当時の僕は思いつきもしませんでした。いや、気が付いてはいたのですが、信じたい一心で騙されていました。パチンコにのめりこんでいて、頭も心もおかしかったのだと思います。
攻略詐欺に遭うまでの流れ
始まりは茶封筒
始まりはアパートの郵便受け。茶色い封筒の中身に『パチンコ攻略法無料で教えます!!』という文字。数日前からパチンコにハマりその日も負けて帰ってきたので迷わず書かれている番号に電話。
丁寧に対応してくれる担当者。「ぜひ、本社に来てみてください」と言われ、新宿にあるパチンコ攻略会社へ出向くことに。社名は『(株)KO企画』(後に分かることですがパチンコ攻略詐欺の大手です)
担当「攻略法なら年間300万は稼げる!!」
新宿駅南口から徒歩10分、KO企画に到着。オフィスには受付のようなスペースがなく、偶然通りかかった女性社員(若くて美人)が対応をしてくれる。
「担当者を呼んできます」ということで待っていると、見るからに好青年な短髪のお兄さんが登場。年齢は28歳と言うが大学生のようなテンションで親近感を覚える。
「機種はどれが好き?」「主にいくホール(パチンコ店)は?」「パチンコだけ?スロットは打たないの?」
最初は、パチンコやギャンブルに関する雑談、徐々に攻略の本題へ。
「パチンコでどのくらい稼ぎたいと思う?」「月、どれくらい勝てると思う?」
適当に「10万」と答えると、担当の好青年は溜息をついて、「もっと欲張りなよ」「攻略を使えば月30万は当たり前、年間300万は勝てるよ!!」
攻略法を実際に見せられる
オフィス内には何種類かパチンコ台が置いてある。担当が「これを使って攻略を実践します」と言い台についているボタンをポチポチと押す。ゲームの隠しコマンドのよう。「あと5回転以内に当りが来るから」と言って僕に席を譲る。宣言通り、5回転を待たずして大当たりが来る。
「この攻略法を教えてくれるのか!?」と胸が高鳴る。
担当者「この攻略法はもう使えないんだけどね」
攻略法は2ヶ月から3ヶ月くらいで使えなくなってしまうらしい。「新しい攻略法が出るたびに買う必要がある」と説明を受ける。
「大丈夫、元は取れるから」と何回も念を押される。
(今思えば詐欺師の常套句なんですけど、当時の僕は「なるほど」と頷いていました)
金融機関でお金を借りるよう指示
攻略法を購入するには、KO企画の『プレミア会員』にならなければいけないらしく、そのためには『シルバー会員』というプレミア会員の2ランク下の会員になって経験を積んでほしいとのこと。
しかし、シルバー会員になる為には60万が必要。
そんな金額は用意できないが・・・
「じゃあ、金融機関で借りてきてください」と担当者。
普通なら、「いやいや、おかしいでしょ」と思うところだが、社会経験の薄さからか、「こういう時のためにアコムはあるのか…」などと思い納得してしまう。
金融機関を利用したことがない僕に、担当者は親切丁寧に説明。借りる金融機関も指定。 「怪しまれたら、『卒業旅行で海外に行く』って言えば良いから」とアドバイスを受ける。
(一応言っておくと、金融機関でお金を借りさせる手段は99%詐欺です)
金融機関に行くと、窓口には『パチンコ攻略詐欺にご注意ください』『金融機関でお金を借りさせる詐欺が多発しています』という注意書きが置いてある。紛れもなく自分に対するする注意喚起だが無視。
パチンコ攻略のための借金であること、KO企画から来ていることを必死に隠し、金融機関から20万円を借り入れる。
(当時はまだ、審査が緩かったので、『神奈川県から卒業旅行のために新宿までお金を借りに来た学生』という最高級に怪しい僕にも、お金を貸し出してくれました…)
その後も、複数の金融機関をはしごし計60万を用意。お金は全部、担当者の手へ。
担当プロとの対面。いざ実践!
無事に60万円を集めたことでシルバー会員になる。担当のパチプロがつくということで、「今後は担当プロ指導のもと頑張ってください」と別室へ送り出される。白いソファーとガラステーブルが置かれた部屋に、メガネをかけたおっさんが1人。「これからガンガン儲けてもらうんでヨロシク」と頼もしい一言を述べられる。
今後、どのようなやり方でパチンコを打っていくのか説明される。『毎日データを収集してプロに報告する』『打つ台はプロの指示に従う』この2つを徹底しろと指示。
翌日、担当プロから電話がかかってきてホール(店舗)を指定される。「現地についたら連絡をくれ」と言われたので現地についてから電話をかけるが、「今ちょっとプロは席を外していまして…」とパチンコ店の外で1時間ほど待たされる。
その後、折り返しの電話が来て打つ台を指示される。
「○○○番の○○(機種名)を打って、1箱できたら電話して」
当たりを引いて1箱1杯にする前提の指示。
結果、持っていた5000円が消えただけ。1箱も作れず終了。結果をプロに報告するが、「今、プロは席を外しておりまして…」。
本社に呼び出し!さらにお金を要求される…
初めて指示をうけた日から3日後、ようやく担当プロから電話が入る。
「特別待遇でシルバー会員からゴールド会員へと格上げになった。明日本社に来てくれ。攻略法も教える」とのこと。
翌日、本社に行くとプロではなく以前担当してくれた好青年に出迎えられる。
「攻略法を買わせてあげるから今すぐ20万用意してくれ」という話をされる。また金融機関を指定され、送り出される。
しかし、他の金融機関で既に60万円を借りているため借金する許可は下りなかった。(ここで始めて、金融機関同士が情報を共有していることを知ります)
お金を借りられずKO企画へ戻る。
「頑張ってくれたから、特別に攻略法を教える」という無茶苦茶な理由で攻略法伝授を許可されるが、「詳しくは後日プロから電話が行くんで…」と、その日は何の収穫も無く終了。「今、プロはなにをしているんですか?」と訊くと、「ちょっと席を外していて…」とお馴染みの受け答え。
ついに攻略法を教えられるが…
数日後、プロから電話。「攻略法を教える」「1回しか言わないから確実にメモしてくれ」と異様なプレッシャーを掛けられる。
「これを入力後、成功していれば5回転以内にリーチがかかる。70回転以内に当りがくる」とのこと。「当たりまくって玉が出まくっても動揺しないで打ち続けるように」と心構えを指導され通話終了。
翌日、攻略法を試しにパチンコ店に行くが当たるわけもない。
プロに電話をかけるが、「席を外しておりまして……」
この時点で「騙された」と受け入れる。
なぜ騙されてしまったのか?
パチンコ攻略詐欺になぜ騙されてしまったのか?
個人的な考察ですが、原因は2つあると思います。
- 無知
- 欲求
社会経験の乏しさ
無知と言うのは「パチンコに対する無知」「社会経験の乏しさ」です。
特に、社会経験の乏しさは致命的でした。パチンコ攻略詐欺を信じてしまったとしても、金融機関でお金を借りるように促すなんてことはありえないわけで、その時点で「おかしい」と思っていれば、金銭的な被害は避けられたはずです。ただ、当時の自分は「そういうものか…」と受け入れてしまいました。相手からすればカモだったと思います。普通なら疑われるような話でも、「なるほど」と言って納得するわけですから。
「楽して稼ぎたい」という欲求
僕がパチンコにハマり、パチンコ攻略に興味を持った最大の理由は、「楽して稼ぎたい」という欲求にあると思います。
当時の僕は、バイト先では安い時給で働かされ、毎日のように怒られ、人間関係もうまくいかず、「働いて稼ぐ」ということに対して恐怖心を抱いていました。幼い頃から嫌そうに仕事に行く父親を見て育ってきましたし、「仕事とは嫌なモノだ」という気持ちが人一倍強かったかもしれません。
そんな中で現れたのがパチンコでした。『パチンコで儲ける』ということに強い憧れはあったと思います。
詐欺に騙されている間、「おかしいな?」と思ったことがゼロだったわけではありません。疑った瞬間は何度もありました。ネットでパチンコ攻略について検索して、攻略詐欺の被害に遭った人の掲示板なんかも見ていました。それでも騙されてしまったのは、「信じたい」という気持ちがあったからです。「信じない」ということは、自分が理想とする「楽して稼ぐ」という理想を捨てることと同義でした。「楽して稼げるのだと信じたい」という思いが、詐欺を疑いながらも騙され続けた原因です。
「なぜ騙されてしまったのか?」という質問に簡潔に答えるなら、「"楽して稼ぎたい" という甘い考えがあったから」と答えます。
今回書いたような経験を、「社会勉強」「高い授業料」などとは思っていません。本当に愚かで情けなくて恥かしいことだと思います。
「コイツはクズだな」「バカだな」と思ってもらってかまいません。
ただ、同時に、「こうはならないようにしよう」とも思って欲しいです。
パチンコに依存し明らかにおかしくなった精神状態、パチンコで勝ちたい稼ぎたいという強い欲望、まともな社会経験もない学生…僕には詐欺に遭う条件がそろっていました。
当時の僕と同じ学生さんには、充分に注意してほしいと思います。パチンコ攻略詐欺だけではなく、あらゆる詐欺にです。「何も知らな」という無知、「お金が欲しい」「モテたい」などの欲望に詐欺は漬け込んできます。
「自分は大丈夫」と思っている人ほど、改めて注意してください。僕も、詐欺に遭うなんて馬鹿だなと自分が騙されるまでは思っていました。
とりあえず、高額なお金を使うときには1度調べてから行動すること。楽して儲かるような旨い話には必ず裏があること。この2点だけ頭に叩き込んでおけば大丈夫だと思います。欲望だけに流されず冷静な判断さえできれば、変な詐欺に騙される確率はグッと減るはずです。
オマケ:攻略詐欺で買わされたモノ
KO企画の会員になった際、手渡された物がいくつか残っていたので紹介しておきます。
本(教材)
勝つための立ち回り方や、パチンコでの釘読み、スロットでの高設定台の判別、優良店の見分け方などが書かれている教材。
裏技的だったインチキの攻略法ではなく、ちゃんとした攻略法が書かれている。これを完璧に実践できたら勝てるだろうな、という内容。
本の厚さは週刊誌よりも少し薄い程度。膨大な情報が書かれているわけでもないのにお値段は……
DVD
KO企画の所属のパチプロが実践的なパチンコ術を説明しているらしい。(見てない)
ポケットPC
台のデータを記録してPCに入力していくと、その日どの台が「出る」のかを教えてくれる超絶優れモノ。
『コミュニケーションを大切にする』KO企画さん。お世話になりました。また「席を外していないとき」があればゆっくりお話したいですね。